「ぷっくりとした姿が可愛い多肉植物。もっとたくさん増やしてみたい!」
そう思っている方も多いのではないでしょうか?
多肉植物の魅力の一つは、葉っぱ一枚から新しい株を育てられる「葉挿し(はざし)」が比較的簡単にできることです。
この記事では、多肉植物の葉挿しの基本的な方法から、成功率を上げるためのコツ、そして気になる「最適な時期」について、
特に春と秋を比較しながら詳しく解説していきます。初心者の方でも安心してチャレンジできるよう、丁寧に説明しますので、ぜひ最後までお読みください!
多肉は葉挿しで増やしてみよう
葉挿しとは、多肉植物の葉を親株から外し、土の上に置いておくだけで根や新しい芽(子株)が出てくる増やし方です。
葉挿しの魅力
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手軽さ: 特別な道具はほとんど不要。葉っぱと土、容器があれば始められます。
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コスト: 新しく苗を買う必要がなく、手持ちの多肉植物を増やせます。
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楽しさ: 小さな葉から芽や根が出て、少しずつ成長していく姿を観察するのは感動的です。
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学び: 植物の生命力や成長の仕組みを間近で感じられます。

葉挿しに最適な時期は?春と秋、どっちが良い?
多肉植物の葉挿しは、一般的に生育期である「春」と「秋」が最も成功しやすい時期とされています。
では、春と秋、どちらがより優れているのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
多肉植物の多くは、過ごしやすい気温(おおむね15℃~25℃)で元気に成長します。
日本の春と秋は、この条件に合致する期間が長いため、葉挿しに適しているのです。真夏(高温多湿)や真冬(低温・乾燥)は、葉が腐ったり、成長が止まってしまうリスクが高まります。
【春(3月下旬~梅雨入り前)】
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メリット:
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気温が上昇し、日照時間も増えるため、発根・発芽のスピードが速い傾向があります。
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成長の勢いがあり、小さな株でもある程度しっかり育つ時間があります。
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春に増えた子株は、夏までに少し体力をつけることができます。
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デメリット:
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梅雨時期の高温多湿は、葉が腐る原因になりやすいです。管理に注意が必要です。
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春の後半~初夏にかけて、急な気温上昇で葉が弱ることがあります。
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害虫(カイガラムシ、ナメクジ)の活動も活発になる時期です。
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【秋(9月中旬~11月頃)】
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メリット:
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猛暑が過ぎ、気候が安定しています。徐々に気温が下がり、湿度も落ち着くため、葉が腐るリスクが春より低いと言えます。
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空気が乾燥してくるため、カビの心配も比較的少ないです。
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害虫の活動が鈍ってくる時期です。
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穏やかな気候の中で、じっくりと発根・発芽し、冬までに根を張ることができます。
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デメリット:
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春に比べると、発根・発芽のスピードはやや緩やかになることがあります。
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冬が近づくと成長が鈍化・休止するため、春ほど大きく育たない可能性があります。
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寒さが厳しい地域では、冬越し対策が必要になる場合があります。
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【結論:どっちがおすすめ?】
どちらの季節も葉挿しには適しています。
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早く結果を見たい、成長スピードを重視するなら「春」
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腐るリスクを減らしたい、安定した環境でじっくり育てたい初心者の方には「秋」
が、個人的にはおすすめです。特に初心者の方にとっては、腐敗のリスクが低い「秋」の方が管理しやすいかもしれません。ただし、お住まいの地域の気候や、管理できる環境によっても左右されます。
大切なのは、真夏と真冬の厳しい時期を避けることです。
葉挿しに向いている多肉植物の種類
全ての多肉植物が葉挿しで増やせるわけではありません。一般的に、葉に厚みがあり、水分を多く蓄えているタイプが成功しやすいです。
葉挿ししやすい代表例
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エケベリア属( Echeveria )
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セダム属( Sedum )の一部(虹の玉、オーロラ、乙女心など)
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パキフィツム属( Pachyphytum )(月美人、星美人など)
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グラプトペタルム属( Graptopetalum )(朧月、ブロンズ姫など)
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カランコエ属( Kalanchoe )の一部(子宝草、不死鳥など ※これらは葉の縁から自然に子株が出ます)
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葉挿しが難しい・できない例
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アエオニウム属( Aeonium )(葉挿しはほぼ不可。挿し木が一般的)
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ハオルチア属( Haworthia )(葉挿しできる品種もあるが、時間がかかる・難易度高め)
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アガベ属( Agave )(主に子株や種で増やす)
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センペルビウム属( Sempervivum )(ランナーで子株を増やすのが一般的)
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葉挿しに必要なもの
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健康な多肉植物の葉: 親株から取った、傷がなくプリプリした葉。
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土: 水はけの良い、清潔な土。市販の「種まき・挿し木用の土」がおすすめです。肥料分は少ない方が良いです。
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容器: 浅めのトレーや平たい鉢、プラスチックのパックなど。底に水抜き穴があると管理しやすいですが、最初のうちはなくても大丈夫です。
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(任意)ピンセット: 小さな葉を扱う際に便利です。
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(任意)霧吹き: 発根後に水を与える際に使います。
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(任意)ルートンなどの発根促進剤: 必須ではありませんが、使うと発根率が上がることがあります。
葉挿しの手順【ステップ・バイ・ステップ】
Step 1:葉を取る
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親株から葉を優しく取ります。左右に軽くゆするようにすると、付け根からきれいに取れます。
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重要ポイント: 葉の付け根にある「成長点」を傷つけないように!ここが潰れると芽も根も出ません。付け根がきれいに取れているか確認しましょう。
- 自然に落ちた葉でも、付け根がきれいなら使えます。
Step 2:葉を乾かす(やらなくてもOK)
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取った葉は、すぐに土に置かず、日陰で2日~1週間ほど乾かします。
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目的は、切り口を乾燥させて「カルス」と呼ばれる保護膜を作ること。これにより、土に置いたときに雑菌が入って腐るのを防ぎます。
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置く場所は、直射日光の当たらない、風通しの良い明るい日陰がベストです。新聞紙やティッシュの上に並べておくと良いでしょう。
Step 3:土の上に置く
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容器に乾いた土を入れ、表面を平らにならします。
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乾かした葉の切り口(付け根)が土に軽く触れるように埋めます。深めに埋めても大丈夫。
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葉の表裏は、どちら向きでも大丈夫なことが多いですが、裏側(丸みのある方)を下にすると安定しやすいです。

Step 4:管理場所と水やり(発根・発芽まで)
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葉を置いた容器は、直射日光の当たらない、明るい日陰に置きます。レースカーテン越しの窓辺などが適しています。
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根や芽が出るまでは、基本的に水やりは不要です!葉自身の水分で発根・発芽します。ここで水をあげすぎると腐る最大の原因になります。
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ひたすら待ちましょう。早いもので1週間、遅いと1ヶ月以上かかることもあります。種類や環境によって差が出ます。
Step 5:発根・発芽後の水やり
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葉の付け根から、ピンクや白っぽい根や、小さな芽が出てきたら、水やりを開始します。
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根や芽の周りの土が軽く湿る程度に、ごく少量の水を与えます。葉本体に水がかかりすぎないように注意しましょう。
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頻度は、土の表面が完全に乾いてから数日後、くらいが目安です。常に湿っている状態は避けます。週に1~2回程度から様子を見ましょう。
Step 6:成長と植え替え
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根が伸び、芽が少しずつ大きくなってきます。元の葉(親葉)は、養分を子株に与え、徐々にシワシワになって枯れていきます。
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親葉が完全に枯れてカリカリになったら、そっと取り除きます。(無理に取る必要はありません)
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子株がある程度の大きさ(直径1~2cm程度)になったら、一つずつ小さな鉢に植え替えてあげましょう。植え替えの際も、水はけの良い土を使います。
葉挿し成功のコツと注意点
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健康で元気な葉を使う: シワシワの葉や病気の葉は成功率が低いです。
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付け根をきれいに取る: 成長点を傷つけないことが最重要!
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しっかり乾かす: 焦って土に置かないこと。腐敗防止の基本です。
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水やりは根が出てから、ごく少量: 過湿は禁物!
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置き場所: 明るい日陰で管理。直射日光は葉焼けの原因になります。
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焦らない: 根や芽が出るまで時間がかかることもあります。気長に待ちましょう。
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土は清潔なものを: 古い土や肥料分の多い土は避けましょう。
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もし葉が腐ったり、カビが生えたら: 残念ですが、その葉は取り除きましょう。
まとめ:葉挿しで多肉植物ライフをもっと豊かに!
多肉植物の葉挿しは、少しのコツと忍耐があれば、初心者でも十分に楽しめる増やし方です。
最適な時期は、成長期である春と秋。特に、気候が安定し腐るリスクが低い秋は、初心者の方にもトライしやすい季節と言えるでしょう。もちろん、春の成長スピードも魅力的です。
この記事を参考に、ぜひお気に入りの多肉植物の葉挿しにチャレンジしてみてください。小さな葉から新しい命が生まれる瞬間は、きっと感動的ですよ!