多肉植物には、水やりが必須です。
一昔前は、「多肉植物の水やりは霧吹きでOK!」なんて言われてましたが、真っ赤なウソです。
「多肉植物の種類による水やり頻度の違い」
「季節別の水やりタイミング」
「水をやらなくても枯れない期間」
「水やりと用土の関係性」
といった疑問を、多肉植物を15年間育てた経験から、初心者向けに解説していきます。
この記事を読むと、水やりマスターになれます。
種類による水やり頻度の違い
多肉植物には、多くの種類があります。
葉がぷっくりした品種、葉の薄い品種、毛が生えている、粉を吹いている・・・など。
基本的に、薄い葉の品種は、葉がぷっくりした品種と比べて水やりの頻度が多くなります。
葉が薄いということは、水を貯蓄しておく力が弱いからです。
どの品種にも共通して使えるテクニックは、「葉を触ってみる」ことです。
葉を触った時の感触で、多肉植物が水を欲しているかどうかを知ることができます。
- 葉が柔らかい
- 葉が「ふにゃふにゃ」している
- 葉にシワがある
上記のような状態なら、水やりが必要です。
次に、どの程度の水やりを行うのかを解説します。
水の分量について
根の状態によって、水やりを加減する必要があります。
- 根が十分に張った個体
- 挿し芽したばかりで、根が張っていない個体
- 葉挿し
根が十分に張った個体
葉が柔らかい、葉にブニブニしている、葉にシワがあるといった状態の場合は、鉢底から水が出るまで与えています。
この水やりは、一般的な花や野菜の水やり方法と同じです。
私の使っている土は、水はけを重視した配合にしてあるので、たっぷりと水を与えても2~3日後には土が乾いてきます。
水をたっぷり与えるデメリットは、「根腐れ」、「蒸れ」、「徒長」のリスクが高まることですが、水はけの良い土をつかうことで、「根腐れ」や「蒸れ」のリスクを排除しています。
「徒長」は、日当たりの良い場所で管理することで防ぐことができます。
挿し芽したばかりで、根が張っていない個体
少しでも根が出ていれば、水を吸収できるので鉢の3~7割が湿る程度の水やりを行います。
難しいですが、根の張り具合によって水やりを調整する感じです。
とはいえ、鉢底から水が流れ出るまで水を与えても枯れることはありません。
水が不足すると枯れますが、水が多い(鉢底から出る程度)ことで枯れることは少ないので、神経質になりすぎずに水を与えると良いです。
ただし、土の水はけは良いことが前提です。
根が十分に張っていない個体の葉が「柔らかい」「ブニブニ」「シワがある」場合は、半日陰に置いて管理すると良いです。
根が張る前に葉を消耗すると、枯れる可能性があります。
根がまったく出ていないのに「柔らかい」「ブニブニ」「シワがある」場合は、人肌程度のぬるま湯を用意して、一晩漬けておけば葉に張りが出て復活します。
復活後、土に挿して管理すれば根が出てくる可能性が高まります。
葉挿し
葉挿しは、頻繁な水やりが必要です。
水やりは、土の2割~5割が湿る程度に与えます。
芽が出たとしても、葉が小さく、根も十分に張っていないため2~3日に1回の水やりを行っています。
挿し芽の水やりと同じく、根の張り具合によって水やりを調整する感じです。
根が出ていない葉挿しの場合は、土の表面を湿らせる程度に水やりをすると発芽率が高くなります。
水を与えるというよりも、湿度を高めてあげるイメージです。
▼葉挿しの水やり方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
-
【成功率90%以上】多肉植物の葉挿し成功率を上げる方法を徹底解説
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季節別の水やりタイミング
- 春:いつでも
- 夏:曇りが続く日がベスト・気温の高い日は避ける。
- 秋:いつでも
- 冬:寒波前は水やりを避ける
夏と冬は、天気予報をチェックしながら水やりの日を選びます。
夏は蒸れやすく、鉢の地温も上がりやすいため、曇りの日に水やりをすると安全です。どうしても晴れの日に水やりを行う場合は、太陽が沈んでからが良いです。
冬は、寒波を避ければ大丈夫。
寒波前に水を与えた場合、葉の細胞が凍って傷つきやすくなります。
春と秋は多肉植物にとっては、もっとも良い環境となります。昼間に水やりをしても根が煮えることはないし、低気温に気を遣う必要もありません。
とはいえ、季節の変わり目は気温の変化が激しいので、念のため天気予報をチェックしておくと安心です。
水をやらなくても枯れない期間
多肉植物は、水やりを2~3カ月サボっても枯れません。
ただし、薄い葉の品種は、水を貯蓄しておく力が弱いので注意してください。
水を与えないことで、多肉植物の形が崩れたり、下葉が萎れて見た目が悪くなる場合もあります。
2~3カ月の水切りでも枯れませんが、見た目は変化するので注意が必要です。
見た目を維持したい場合は、無肥料の土で育成することをおすすめします。
水やりと用土の関係性
水やり頻度は、土の保水性でコントロールできます。
ピートモス等を使って、保水性が高めれば、2週間に1回程度の水やりで済みますが、土が乾くのが遅くなるため、管理の難易度は高くなります。
多肉植物の生産者は、ピートモスを配合して水やり頻度を減らすことで管理を楽にすることもあります。
一方で、保水性を低くする(水はけを良くする)ことで、2~3日で土を乾かすことも可能。
その場合、1週間に1~2回の水やりが必要になります。
すぐに乾く土なら、水を与えすぎても蒸れで枯れることは殆どありません。
土に水を与えるのは簡単ですが、土から水を取り除くのは難しい。(というか不可能)
そのため、初心者の方は水はけの良い土で管理をすることをおすすめします。
記事の前半で、「薄い葉の品種は、厚い葉の品種に比べて水やり頻度が多い」と解説しましたが、土の配合を変えることで水やり頻度を「同じ」にできます。
薄い葉の品種を植える土に、市販の培養土を多めに配合して水持ちを良くしてあげるだけ。
薄い葉の品種は、肥料も多めに必要なので、市販の培養土なら水持ちと肥料を同時に補えます。
培養土は、花や野菜の培養土で問題ありません。
▼多肉植物の土について詳しく知りたい方向けの記事。
-
多肉植物の培養土の作り方。花と野菜の培養土を使用して、水はけの良い多肉専用培養土を作る
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長くなりましたが、まとめると、
- 葉が「柔らかい」「ブニブニ」「シワがある」ときは水やりが必要
- 薄い葉の品種は、厚い葉の品種に比べて水やり頻度が多い
- 夏と冬は水やりタイミングに注意
- 水はたっぷり与えても枯れない
- 水はけの良い土なら失敗が少ない