当記事では、失敗を防ぐ多肉植物の挿し芽のやり方を解説します。
多肉植物の挿し芽(挿し木・挿し穂)をしてから、根が生えてくるまでの管理方法、失敗しないためにやるべきこと、失敗した時の対処法を知りたい方向けの記事となっています。
この記事で学べること
- 多肉植物の「挿し芽のやり方」が分かる
- 挿し芽の「失敗を防ぐ工夫」が分かる
- 失敗した時の「対処方法」が分かる
挿し芽の成功率100%をめざそう
失敗を防ぐポイントをまとめます。
- ハサミ、カッターナイフは消毒する
- 挿し芽を採取する前日~2日前に水やりを行う
- 清潔な土を使う
- 茎が木質化している場合は刺激を与えておく
- 直射日光は避けて明るい場所で管理
- 気温が低い時は失敗するかも
- 水やりは、メネデールを使うと成功率が上がる
- 失敗したらすぐに対処する
挿し芽で増やすのに向いた品種
挿し芽で増やすのに向いている品種は、
- 斑入りの品種(名前に「錦」がついている)
- アエオニウム全般
- クラッスラ全般
- モケモケ系(熊童子、子猫の爪など)
- その他、葉挿し成功率が低い種類
それでは、詳しいやり方を解説していきます。
多肉植物の挿し芽のやり方
まずは、基本的な挿し芽(挿し木・挿し穂)のやり方を解説します。
この記事で解説するやり方で挿し芽をすれば、失敗をする確率を最小限に抑えることができます。
挿し芽、挿し木、挿し穂、いろいろな言い方がありますが、どれもやり方は同じ。
当記事では「挿し芽」と記載します。
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1ハサミを消毒する
まずは、挿し芽をする多肉植物の茎をカットするのですが、病気やウィルスの感染を防ぐために、消毒をしたハサミやカッターナイフを用意します。
▼消毒が面倒な場合は、テグスを使ってカットする方法もあります。胴切りをする際は、テグスが使われることが多い。
ハサミやカッターナイフの消毒方法は、いくつかあります。
- アルコールスプレー:刃先にアルコールスプレーを吹きかける。
- 熱湯:80℃の熱水に10分間さらす
- キッチンハイター:100倍液に希釈して3分間漬ける
- 石灰:刃先に粉状の石灰をまぶす
どの方法でもOKです。
お手軽にできることなので、ハサミやカッターナイフを利用した後や、利用する前に習慣づけるようにしてください。
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2多肉植物の茎をカットする
カットする際のポイントは、
- 前日~2日前に水を与えておく(葉に水を貯えさせる)
- 茎は長めにカットしておくと微調整が可能
- 下の葉をいくつか取り除いて、葉挿しに利用する
多肉植物は丈夫なので、難しく考えずに切りたいように切っても問題ありません。
テグスを使って胴切りした場合は、茎が無かったり、短いことがありますが土に置いておくだけで発根させることが可能。
水耕栽培のように、水を入れた瓶を使って発根させる方法もあります。
下葉を何枚か取って形を整える
取り除いた葉は、葉挿しとして利用できます。
カットした親株からは、脇芽が成長します。
葉っぱを何枚か残しておく方が、脇芽が成長しやすくなります。
注意点は、
カットすることで、直射日光に当たっていなかった葉が日光を浴びることになり、葉焼けする可能性があること。
葉焼けを防ぐには、置き場所を変えるのが一般的ですが、カットした部分に葉っぱを置いて一時的に日陰を作るという技もあります。(胴切り限定の技です)
▼追肥をすれば脇芽の成長が早くなるので、IB化成肥料を1~2粒程度与えておくのがおすすめ。追肥をしたら水を与えて肥料成分を土に溶かしてあげましょう!
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多肉植物に与える肥料の最適解は?肥料を上手に使って大きく育てる方法
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3失敗を防ぐための工夫
※茎が緑色で新鮮な場合は、不要な作業です。
茎がカチカチに硬くなっている(木質化している)場合は、爪で擦るように刺激を与えることで発根が促されます。
硬い皮に刺激を与えることで、皮が少し剥がれて発根しやすくなります。
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4失敗を防ぐための工夫②
多肉植物は、切った茎からも水分を吸収できるので、葉が萎れている場合は水に漬けておくと失敗を防げます。
水に漬ける時間は、葉の萎れ具合によって異なります。
- 葉に張りがある:水に漬けなくても問題なし
- 葉が柔らかい、シワがある:数時間~ひと晩
- 葉がカラカラ:2日程度
▼メネデールという活力剤を使用することで、発根を促進することも可能。
100倍に希釈したメネデールに、多肉植物の挿し芽を数時間漬けてから挿すことで発根が促進されます。水やりの際に、メネデールの100倍希釈液を与える方法もあります。
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5挿し芽を土に挿す
土は、親株と同じ土でも問題ありませんが、清潔な土に挿すと病気を防ぐことができます。
心配なら、鹿沼土に挿しておけば大丈夫。鹿沼土は、無菌なので安心して挿し芽できます。
土に挿す際は、あらかじめ土に穴をあけてから挿すことで切り口を傷つけるのを防ぐことができます。
挿し芽の管理方法(置き場所、水やり)
多肉植物の挿し芽の置き場所は、
- 直射日光は避けて、明るい場所
- 風通しの良い場所
挿し芽をした多肉植物は、明るい場所に置きます。
強い直射日光は避けて管理しますが、日陰に置くと徒長するので、遮光ネットを使用するのがベスト。遮光ネットがなければ半日陰で管理します。
土が乾いたら水やりを行います。
根が無いのに水やりを行う理由は2つあります。
- 水を与えることで発根を促す
- 生えてきた根から水分を吸収
土に水を含ませることで、多肉植物に対して「根を伸ばしたら水を吸えることをおしえてあげる」ことができ、発根を促すことにつながります。
根が生えてきたら、水分を補給させることができるため、水を与えて根を育てていきます。最初は1~2ミリ程度の根ですが、水分を吸収する力はあります。
土を乾燥させすぎると、発根した根が弱ってしまうので、適度な水やりが大切ですが、水を与えすぎると切り口が腐ってくるので注意。切口が腐ると、徐々に茎を侵食して根が生えなくなります。
結果、水分の補給が不可能になり、枯れます。
発根まで、2週間程度かかる
気温10~30℃であれば、2週間程度で発根します。
10℃を下回ると発根に時間がかかる為、失敗する確率が高まります。そのため、冬に挿し芽をする場合は室内管理をおすすめします。
発根後は日光に当てて徒長を防ぎながら丈夫な株に育てていきます。
発根したか確かめる方法
挿し芽を軽く引っぱったり、揺らしたりしたときに抵抗があれば発根しています。
発根したての頃は抵抗が弱く、発根しているかどうかの確認が難しいこともあります。
強く引っ張ると発根した根が千切れることもあるので、気長に待ちましょう。
挿し芽が失敗したかも?対処法を解説
切り口が腐ったり、根が生えてこなかったりして挿し芽に失敗することもあります。
早期に異常を発見して対処をすれば、なんとかなります。
茎が黒くなって根が生えない
茎が黒くなって根が生えない場合は、茎が腐っていることが多い。
対処法は、黒くなった部分を取り除いて清潔な土に挿し直すこと。
挿し芽が小さかったり、茎全体が腐っている場合は、生き残った葉を使って葉挿しを試みるしかありません。
葉がしおれて元気がない
以下のパターンが考えられます。
- 土の水はけが良すぎて、根が水分を吸収する前に土が乾燥してしまう
- 根は、まだ生えていないが、萎れてきた
- 根が黒く傷んで水を吸収できない
「根が水分を吸収する前に土が乾燥してしまう場合」は、土から引き抜いて株ごと水に一晩漬けておけば再生します。土に戻す場合は、水はけを調整する必要があります。
根が生えていないのに萎れてきた場合は、カットする前の葉の水分量が少なかった可能性があります。再び、茎から水が吸えるようにカットしてから、水に一晩漬けて土に挿し直します。
根が傷んでいる場合は、水を与える頻度が少なかった可能性があります。傷んだ根を茎ごとカットして、水に一晩漬けてから土に挿し直します。
徒長している
日光が不足すると徒長します。
いきなり直射日光に当てると葉焼けするため、徐々に慣らしながら日光に当てる時間を長くしていきます。
発根後は、日光に当てて管理することで徒長を防ぎながら丈夫な株に育てることが可能。
多肉植物の挿し芽は簡単
多肉植物の挿し芽は簡単なので、ぜひ挑戦してみてください。